山上ヶ岳にある修験道の代表的な行場 鐘掛岩(かねかねいわ)

鐘掛岩は一歩一歩が修行

鎖場である「油こぼし」を抜けた先に現れる、表行場最大の難所の鐘掛岩、鎖を頼りに切り立った巨岩を登る、非常に危険を伴う行場です。
西の覗きと並んで印象に残ったのが「鐘掛岩」。

写真では「鎖場なんだな」くらいに思っていましたが、実際に目の前へ立つと、その迫力は想像以上。切り立った岩肌に一本の鎖が伸びる光景を見て、思わず「ここを登るの!?」と足が止まりました。しかも、命綱はありません。「もし滑ったら…命はないな。」そんな考えが頭をよぎります。普段の生活では、手すりがあり、安全柵があり、何かあれば誰かが助けてくれる環境で暮らしています。しかし、ここでは最後に頼れるのは自分の手と足、そして一歩一歩を慎重に進む判断力だけです。

実際に鎖を握ると、余計なことを考える余裕はなくなります。次の足場だけを見て、確実に体を運ぶ。その繰り返し。仕事のことも日常の悩みも頭から消え、「今、この一歩」に全神経を集中させる時間でした。修験道では、こうした険しい岩場も修行の一つです。単に体力を鍛えるのではなく、恐怖や慢心、自分の弱さと向き合うことが本当の修行なのだと感じました。登り終えた時には、大きな達成感と同時に、何百年も前からこの道を命がけで歩いてきた山伏たちへの尊敬の気持ちが湧いてきました。鐘掛岩は、ただスリルを楽しむ場所ではありません。
「命は当たり前ではない。」そんなことを全身で教えてくれる、大峰山ならではの修行の場でした。

ちょうどいいタイミングで人がいましたし、先に上ってる方もいたのでまあ大丈夫だろう安心感がありましたけけど、誰もいない1人で登ると万が一の時にそのまま逝ってしまうのかなと思うので、これも修行です。