
ようやくたどり着いた山上ヶ岳の山頂、お花畑。
「ここからの景色はきっと絶景なんだろうな」と期待していましたが、この日はあいにくのガスガスで周囲は真っ白、何メートル先も見えないほどでした。
正直、「せっかく登ったのに景色が見えないのか…」と少し残念な気持ちにもなりましたが、でも、不思議と後悔は全くありませんでした。
西の覗きで足がすくみ、鐘掛岩では命綱のない鎖場に緊張し、油こぼしでは一歩一歩慎重に足を運び、汗だくになりながら何とか山頂までたどり着いたので、その道のりを思い返すと、「登れた」という事実だけで十分だったのです。山頂で深呼吸をすると、ガスに包まれた静寂の世界。風の音と鳥の声だけが聞こえ、まるで山全体が修行の余韻に包まれているような神聖な空気を感じました。
修験道では、結果よりもそこへ至る過程を大切にすると言われます。絶景を見ることが目的ではなく、険しい山道を歩き、自分自身と向き合いながら一歩ずつ進むことに意味がある。山頂が真っ白だったからこそ、その教えを少し理解できたような気がしました。
「また晴れた日に登ってみたい。」そんな気持ちはもちろんあります。でも、今回のガスに包まれた山上ヶ岳も、自分にとっては忘れられない景色です。美しい景色は見られなくても、心には大きな達成感が残りました。山頂から見えたのは絶景ではなく、「登り切った自分」だった、そう思える、とても充実した一日でした。5月から9月までにまた来ます、冬は雪山で滑って危険だそうなので。