継桜王子にある、野中の清水と秀衡桜

いにしへのすめらみかども中辺路を越えたまひたりのころう真清水

和歌山県指定文化財の名木「野中の一方杉(のなかのいっぽうすぎ)」の繁る継桜王子(つぎざくら)の近くにあり、いにしえから、熊野詣の旅人の給水ポイントとなっていたようです。
古くから参詣者や旅人の喉をうるおしたそうで、ここを訪れた旅人の多くが、湧水との縁を歌枕に数々の歌や句を残しています。

「いにしへのすめらみかども中辺路を越えたまひたりのころう真清水」。
歌人の斎藤茂吉もこの清水に魅了され、昭和9年にこの歌を詠んでいます。

名水 野中の清水

ここは奥の方から清らかな水がわき出
ていて、「野中の清水」として古くから知られた名水である。真上に継桜王子社や一方杉があり、熊野路を歩く旅人がわ
ざわざ道から降りてきて、よくここでのどをうるおした。また、この付近住民の大事な用水にもなっていた。
一九八五に環境庁の名水にえらばれた。

句碑の すみかねて道まで出るか山しみづ は、俳人服部嵐雪が伊勢と熊野に参り、田辺の方へ歩いて行く途中詠んだ句である。

歌碑の「いにしへのすめらみかども中辺路を越えたまひたりのこる真清水」は、歌人斎藤茂吉が昭和九年(一九三四) 七月
土屋文明と共に熊野に来て白浜に向かう途中で詠んだ短歌です。